「ほら、チェンソーだぞ!」おじさんは言いました。

 

「ありがとう、おじさん!」

 

二人はチェンソーを(かか)えてお父さんとお母さんのところへ(いそ)ぎました。ところが、雨がふり出して、(かみなり)まで()りだしました。大きな木の下で(あま)宿(やど)りしていると、雷が落ちてチェンソーこわれてしまいました。二人は()き出しました。そのときです、

 

(わたし)背中(せなか)に乗って。」

 

カモシカが現れて言いました。

 

(こま)っている人をいっぱい助けてあげたこと、見ていたよ。私が君たちを(はこ)んであげよう。」

 

カモシカは二人を背中に乗せて、お父さんとお母さんのところへとかけていきました。すごいはやさです。耳元(みみもと)(かぜ)がうなります。石ころだらけのところも、森の中も、川も、カモシカはひょいひょいと越えていきました。そして、とうとうお父さんとお母さんのところまでたどり着きました。

 お父さんとお母さんはがけくずれのむこうがわで、つかれてすわりこんでいました。ふたりとも、がけくずれをこえようとして、できなかったのです。

「パパ!ママ!」

 

「そら!まめ!」

 

4人は笑ったり泣いたりしながら()き合いました。

 

(はや)く、早く、日が()れちゃうよ。」

 

カモシカに言われ、4人は順番(じゅんばん)に崖崩れのところを通ってお父さんの車のところまで連れて行ってもらいました。

 

「ありがとう、カモシカさん!」

 

(やさ)しいお二人さん、今度は一緒(いっしょ)(あそ)ぼうな!」

 

そう言ってカモシカは森の中に消えていきました。

 

「そら、まめ、ありがとうなあ。」

 

お父さんとお母さんは泣きながら二人の(あたま)をなでて抱きしめてくれました。そして、一家は無事に家へと帰り、仲良くサラダたっぷりの夕ご飯を食べて、一緒のベッドで(ねむ)りにつきました。

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