「ごめんな…」おじさんは言いました。

 

失敗(しっぱい)しちゃって、チェンソーはつくれなかったんだ。」

 

「そんな…」

 

そら君とまめ君はがっかりして、泣き出しました。そのとき、小さな()ネズミが足元(あしもと)を走りました。まめ君はその声をききました。

 

「こっちへおいで。ウサギさんから聞いてるよ。助けてあげる。」

 

「お兄ちゃん、行こう!」

 

野ネズミは外に出ると、草やぶの中のトンネルに二人を連れていきました。野ネズミの巣でした。曲がりくねった細い穴の中に、どんどん二人は入っていきました。とちゅう色々なものを見ました。野ネズミのトイレや、寝るところや、草のたくわえてあるところ…そして、野ネズミは二人にナッツをふるまってくれました。そして言いました。

 

「ちいさないきものや、(よわ)いものや(きず)ついたものを見捨(みす)てていけない(やさ)しいお二人さん、パパとママはかならず(ぼく)らで(たす)ける。こっちだよ。」

 

土砂(どしゃ)(くず)れの下を、ウサギの穴を通って二人はさらに進みました。野ネズミは途中で何度も、止まってはトントン、と足ぶみしました。すると上から、「こっちこっち」といろんな動物の声がします。トンネルをぬけると、土砂崩れの向こう側に出ました。お父さんとお母さんがくたびれてすわりこんでいました。がけくずれをこえようとして、できなかったようです。

 

「そら!まめ!まあ、野ネズミの穴を通って…!?」

 

「パパ!ママ!」

 

4人はひしと抱き合いました。そして、みんなで野ネズミの穴を通ってお父さんの車のある所に出ました。

 

「ありがとう、小さな動物さんたち。」

 

「またいつでも遊びに来てね!」

 

野ネズミは言いました。

 

4人は家に帰りました。

 

「そう、みんなに親切(しんせつ)にしてあげたの。えらいわ。」

 

ママはそういって二人の頭をなでてくれました。そして一家は、ママのリンゴジャムでパンを食べて、一緒(いっしょ)(しあわ)せな(ねむ)りにつきました。

 

 

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